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【50代の介護】老人には価値がない?人に価値をつけることの代償を考える

【50代の介護】老人には価値がない?人に価値をつけることの代償を考える

日本人の平均寿命は男性で81.64歳、女性だと87.74歳になります。男性の平均寿命は世界二位で女性は世界一位なので、日本は長寿大国であると言えるでしょう。

 

しかし、身の回りにそこまで長生きした人がいない場合や比較的自分の家族や親戚が短命だった場合には、長寿大国だと言われてもいまいちピンとこないかもしれません。そもそも自分がどのくらい長生きするのか、はっきりしたことは全くわかりません。

 

少し前に金融庁は老後の資金として2000万円ほどが必要になる、ということを発表して話題になりました。この老後2000万円とは、65歳で夫が定年した場合の概算です。この計算も男性は95歳まで、女性も90歳まで生きていることが仮定されています。

 

一昔前までは長寿は良いこと、お年寄りは大切にされる存在でした。周りも協力的でしたし、家族の規模も大きく絆も強かったため、村全体で、家族みんなでお年寄りの面倒を見るのが当たり前でした。そのため、老後に多くの貯金が無くても、それなりに楽しく安泰に生活できたはずです。しかし、世の中の風潮やシステムが変わっていく中で、老人は価値がないと見なされ、面倒を見てくれる人がいない場合には自力で生活しなければならないという問題が増えています。

 

なぜ老人は価値がないと見なされるようになってしまったのでしょうか。

 

老人には価値がないと言われる理由は?

 

大きな要因は平均寿命が延びていることです。平均寿命が延びること自体は医療の進歩など、喜ばしい面もたくさんあります。しかし、そのことが原因で高齢者の人口が増えていることが問題になっています。例えば、村に90歳を超えるお年寄りが一人しかいないのであれば、村で一番の高齢者、唯一の存在として周りから大切にされ、尊敬される存在になるかもしれません。しかし90歳を超える高齢者がたくさんいる場合、その希少性は失われ、厄介な老人集団として扱われるようになってしまいます。

 

加えて日本は少子化が進んでおり、若い人の人口が少なくなっています。高齢者が増えても若い人が多ければ面倒を見るのは容易ですが、面倒を見ることのできる若い人よりも介護を必要とする高齢者の数の方が多いことがこの問題を悪化させています。平均寿命が延びることで高齢者が増え続けると、自力で何もできない高齢者は厄介な存在、価値がない存在だと扱われてしまうことがあるのです。

 

現代の老人の価値を下げている別の要因に、ネットの普及などによって簡単に情報が手に入るようになったことが挙げられます。「おばあちゃんの知恵袋」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

 

この言葉は、人生経験の長いお年寄りには、その経験に基づいてたくさんの実際的な知恵を持っている、という意味です。例えば、料理を美味しく作るための隠し味やコツを知っていたり、病気やケガに効く民間療法に通じていたりするお年寄りが大勢います。ネットが普及する以前では、そのような知恵は重宝されました。

 

しかし、今はわからないことがあれば何でも簡単に調べることのできる時代です。わざわざお年寄りに聞いたり、実際に会って教わったりすることをしなくても、スマホ一台あれば動画付きでいろいろなことを簡単に学べる時代です。そのため、いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」も需要がなくなってしまいました。このことも老人には価値がないと見なされるようになった要因です。

 

世の中がネット社会へと変わっていったことは、老人には価値がないとされる別の要因も作り出しています。それは時代の流れが昔に比べてとても速いということです。若い人であっても、新しいスマホやタブレット、パソコンなどの機器を使いこなすためには苦労が求められることがあります。

 

現代ではそのような知識やスキルが無いと就職が難しくなったり社会生活にも影響があります。人は年を重ねていくにつれ、新しく物事を学んだりスキルを身に着ける能力が著しく低下していきます。

そのため、多くのお年寄りは時代の変化についていくことができず、何をするにも手伝いが必要な存在になってしまうのです。このことは特に都市部で多く見られた現象ですが、今では田舎などの地方でも同じようなことが起きています。

 

人に価値をつけることの代償は?繰り返す代償のスパイラル

 

長生きできるのは本来であれば喜ばしいことですが、悲しいことに少子高齢化社会や世の中の移り変わりが多くの人の考え方に影響を与えています。たくさんの知恵と経験を持つお年寄りは、もはや貴重で大切にされる存在ではなく、厄介で価値がない存在となってきています。そのような考え方は良くないと分かっていても、現実問題としてそのように扱われてしまうのです。

 

このことは若い人にとっても他人事ではありません。というのも、そうしたお年寄りの面倒を見るのは結局若い人の仕事になりますし、いずれは自分も年を取って同じような境遇に置かれるからです。少子高齢化が進む日本において、このことは避けることのできない現実です。

 

世の中がそのような状況になっているので、老後のことは自分自身で準備をしておかないと大変つらい思いをするかもしれません。辛い思いだけならまだしも、生活することもままならない状況になってしまった場合には生きることも嫌になってしまったり、周りにさらに多大の迷惑をかけることにもなりかねません。では、具体的にはどんな準備をしておくことができるのでしょうか。

 

少なくともやっておくべきなのは老後のための蓄えをしておくことです。日本人は国民年金や厚生年金に加入している人がほとんどだと思いますが、少子高齢化が進む中で年金だけを当てにするのは良い方法だとは言えません。それで、年金プラスアルファの蓄えをしておくことは知恵の道であると言えるでしょう。

 

個人年金など自分の好きな金額で積み立てられる老後資金のための制度を利用するなら、割よく貯金をしていくことができるかもしれません。つみたてNISAやiDeCoを利用するのも良い方法です。そうした積み立て貯金は低額から簡単に加入することもできるので、早めに準備をしておくことができるかもしれません。

 

今は若くてもいずれ年は取ります。将来、自分が苦しい目にあわないようにするためにも、お年寄りに優しい日本を意識すること、そして自分でできる備えをきちんとしておくことは重要です。

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