【遠距離介護のストレス】 介護者へのサポート制度は?
高齢者の介護では、介護される側だけでなく介護する子供の側にも、大きな負担がのしかかります。精神的な負担や経済的な負担、また体力的な負担もありますよね。
特に、ワンオペ介護のように一人で介護にあたらなければならない場合には、介護する側の精神的な負担によって介護鬱などの疾患を発症するリスクは高くなってしまいます。
また、介護と仕事との両立が難しくて子供が離職すると、子供の生活が立ち行かなくなってしまうリスクが大きくなりますよね。
世界的に見ても超高齢社会である日本には、介護者へのサポート制度があります。これを知っておけば、介護による負担を可能な限り軽減できるのではないでしょうか。
介護者のサポート制度その1 介護休業・介護休暇制度
まず知っておきたい1つ目の介護者へのサポート制度は、介護休業と介護休暇制度です。これは法律によって認められている労働者の権利で、条件を満たせば誰でも取得できます。どちらも窓口は勤務先となるのが特徴です。
介護休業というのは、介護する家族1人当たり通算93日間の休業が認められるというもので、介護する親が1人なら通算93日間、両親ともに要介護なら通算186日間の休業を取得できます。これは、1回しか取得できないわけではありません。1回あたりは通算93日までですが、トータルで3回まで取得できます。
介護休暇というのは、半日単位で細かく取得できる休暇制度で、まとめて長期間休業が必要というわけではないけれど、帰省などで有給だけでは日数が足りない時に便利です。有給休暇制度とは異なる制度なので、有給とは別に利用できますね。これも介護する家族の人数に応じて上限が決められていて、要介護の家族1人当たり年間5日間まで取得できます。
介護休業と介護休暇は、満たさなければいけない条件は異なります。
介護休業の場合には、雇用期間が1年以上あることが条件となっていて、介護休暇は6か月以上が条件として定められています。
介護者のサポート制度その2 所定外労働の免除・法廷時間外労働の制限
2つ目に知っておきたい介護者へのサポート制度は、所定外労働の免除や法廷時間外労働の制限です。家族の介護に従事している労働者は、所定外労働の免除を職場に請求できるほか、残業についても1か月あたり24時間以上は免除されます。さらに、午後10時から午前5時までの新夜勤が免除になるという権利もあります。
介護者へのサポート制度その3 転勤への配慮
3つ目のサポート制度は、転勤への配慮です。会社は、家族の介護に従事する労働者の家庭環境を考慮しなければいけません。そのため、転勤に関しても最大限配慮してもらうことができます。
また、家族の介護で仕事を休みがちだとか、夜勤をしないなどの理由で、従業員を解雇することはできません。これは不利益取り扱いの禁止として法律に定められています。
介護者へのサポート制度その4 介護休業給付金
4つ目のサポート制度は、介護休業給付金ですね。介護休業を家族の介護のために取った場合、この給付金を支給してもらうことができます。介護休業は有給休暇とは異なるため、休業中にはお給料は発生しません。しかし、この給付金を受給できれば、満額ではないにせよいくらかの収入を得ることができるというメリットがありますね。
具体的に介護休業給付金でいくらもらえるかという点ですが、介護休業をスタートした月のお給料の67%と規定されています。この金額を、介護休業を開始してから最長3か月間受け取ることができます。
ただし、誰でも受給できるというわけではありません。受給条件には、介護休業をスタートする前の過去2年間に、11日以上出勤した日が12か月以上あることが規定されています。
介護者へのサポート制度その5 家族介護慰労金
5つ目のサポート制度は、家族介護慰労金があります。満たさなければいけない条件は厳しく、要介護4か5と認定された親を1年以上在宅介護していることに加えて、住民税が非課税となる世帯であること、またこれまでショートステイ以外の介護保険サービスを利用していないことなどの条件を満たさなければいけません。
この家族介護慰労金は、自治体が申請窓口となります。支給される金額は、自治体によって異なります。
介護者へのサポート制度その6 航空会社による介護割引
6つ目のサポート制度は、航空会社による介護割引です。帰省の際に航空機を利用する人なら、事前に登録しておけば30%から40%程度の介護割引を適用されるので、帰省の際にかかる金銭的な負担を軽減できますね。
その他 介護者へのサポート制度
その他にも、行政や地域によるサポート制度もあります。例えば介護者を支援するボランティア団体は、全国各地にあります。ワンオペ介護のように人手が足りずに大変な負担を強いられている人なら、ボランティアの介護者からサポートを得ることによって負担を軽減できるかもしれませんよね。
地域によっては、高齢者の見守り活動をしていたり、介護する人が社会から孤立してしまうことを防止するための運動などもしています。介護においては、介護する側が社会から孤立してしまうケースが多く、社会問題にもなっているほどですよね。住んでいる地域によって具体的にどんなサポート制度があるかは異なるので、まずは自治体に相談することをおすすめします。
その他にも、介護者を対象とした市民参加型のイベントがあったり、相談窓口、ハンドブックなども積極的に利用したいものです。これまで知らなかった便利な制度の発見ができるかもしれませんし、負担を軽減するためのコツやポイントを学べるかもしれません。
介護に携わる人は、多くは暗中模索の状態で試行錯誤しているものです。同じ経験をしている人や、すでに経験した人からの知恵や知識を得られることは、大変な介護においては大きく役立つのではないでしょうか。
まとめ
介護に関する情報収集は、いざ自身がそうした立場や状況に置かれてからスタートするよりも、気持ちに余裕がある早い段階からスタートするのが理想的です。情報を収集しながら頭の中でシミュレーションできますし、どんな時にはどんなサポート制度を利用しようという計画もできますよね。
特に市民参加型のイベントは、頻繁に開催されているわけではないため、見つけた時に参加して情報収集の場とするのが良いでしょう。イベントには、独身の人が親のワンオペ介護に向けて参加するシングル介護者のための交流会があったり、息子という立場で介護を行う人を対象としたイベントなどもあります。
自身が置かれている立場に合わせてぴったりのイベントを選べるという点においても、早めの準備をおすすめします。