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【遠距離介護に多いストレス】親がいなくなったら。捜索願いはどうする?

【遠距離介護に多いストレスは?】親がいなくなったら。捜索願いはどうする?

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認知症を患っている方を介護する場合、徘徊のリスクがついて回ります。足腰が悪く、自力で立って歩くのが難しい方の場合はともかく、認知症の症状が見られるものの歩行に問題がない方の場合、いつのまにか姿を消すという事態が起こり得るため、介護する側は非常に大変です。

少子高齢化が進行していることもあって、今や子供の迷子よりも高齢者の徘徊のほうが件数は多く、徘徊後に保護される高齢者の数は、令和元年には1万7千人を超えました。もっとも、カウントされているのは捜索願いが出された上で保護された高齢者なので、捜索願いが出されていないケースも含めれば、徘徊者の数はもっと増えます。

 

特に注意したいのは、75歳以上の後期高齢者ではなく、65歳から74歳の前期高齢者の方を介護するケースですね。もちろん、健康状態は人それぞれなので、後期高齢者でも元気に自力で歩ける方も多いものの、全体的には後期高齢者の方は体力が低下しており、自力で歩けるとしても、自宅から遠く離れた場所まで行ってしまうケースはさほど多くありません。一方、前期高齢者の時点で認知症を患ってしまった方は体力が比較的あることが多く、自宅から遠く離れた場所まで行ってしまい、発見できなかった家族が捜索願いを出すケースが多いのですね。

 

いずれにしても、認知症を患っている方を介護する場合、徘徊の不安を抱えることとなりますが、厄介なのが遠距離介護の場合ですね。ホームヘルパー(訪問介護員)の方に来てもらう、他の家族に定期的に様子を見てもらうなどの対策はあるものの、高齢者の方が1人になりやすい遠距離介護では徘徊のリスクも高まります。

親がいなくなった!捜索願いはどうする?

高齢者の方が自宅にいないことが判明し、近所を探したり、知り合いに連絡を取ったりしても見つからないのであれば、遠距離介護の場合もそうでない場合も、捜索願いを届け出ることを検討しないといけません。捜索願いが出されたら話が大きくなり、悪い意味で周囲から注目を集めるのではないかと不安を感じるのはもっともですが、認知症の方、特に体力のある方は遠くまで出歩いてしまうケースが多く、捜索願いをためらうのは悪手です。特に、天気が悪い日や暑くて熱中症の危険性がある夏場は、健康面でのリスクも高まります。居場所が分からない場合、速やかに捜索願いを届け出るのが基本です。

 

捜索願いという言葉を聞くと、警察に届け出るものというイメージがあるかもしれませんね。確かに、一般的な行方不明の場合は警察に捜索願いを届け出るのが基本ですが、認知症を患った高齢者の方が行方不明になった場合は、加えて地域包括支援センター、自治会や町内会にも捜索願いを出すのが有効です。

 

最優先で捜索願いを出すところは最寄りの警察署で、遠距離介護などの理由で自ら足を運べない場合は、手が空いている関係者の方に警察署に向かってもらってください。一般的な行方不明の場合は、必ずしも事件性があるとは限らないので警察が捜索に本腰を入れてくれないこともあり得ますが、高齢者の行方不明に関しては命の危険もあるため、しっかりと捜索してくれます。発見の可能性を高めるには詳細な情報が必要ですから、写真を用意した上で、本人の特徴をくわしく伝えることがとても大事です。遠距離介護の場合は当人の服装が分からないこともありますが、当日の服装が分かっているのであれば、必ず警察の方に伝えてくださいね。

 

捜索願いを出す場合。警察以外にも届出をしよう。

続いて捜索願いを出す場所は、高齢者の暮らしをサポートしている地域包括支援センターです。捜索願いを出す地域包括支援センターは、介護を受けている、行方不明になった方がお住まいの地域を管轄しているところです。中学校の区域ごとに地域包括支援センターがあることが多く、こちらでは介護に関しての様々な相談を受け付けています。認知症による行方不明者が出た時の態勢を整えている地域包括支援センターも多いため、ぜひとも力を借りておきたいところですね。地域包括支援センターなどの行政と警察、市民が連携する見守りネットワークが立ち上げられている場合は、非常に頼りになります。

 

ただし、地域包括支援センターの利用履歴がない場合、データが足りずにうまく捜索ができない可能性があります。認知症を患っている方を介護するのであれば、いざという時に備えて、事前に地域包括支援センターに足を運んでおくのが理想ですね。あらかじめ徘徊の恐れについて相談をしておけば、捜索願いを出す時にもスムーズに話が進みます。

 

さらに、自治会や町内会に連絡することも大事です。地域の目というのは意外とあなどれません。目撃者が見つかるかもしれませんし、警察や地域包括支援センターが気づきにくい、人目の届かない場所の心当たりがある方がいらっしゃる可能性も十分にあります。確実性はやや欠けるものの、高齢者が行方不明になった場合は、自治会や町内会にも連絡しておきたいところですね。

 

徘徊をやめさせることは信頼関係を壊す元に。介護サービスをうまく利用して在宅時間を減らす。

捜索願いを出されたら迷惑をかけてしまうなどの理由から、高齢者の徘徊を防ぐことはできないかと考えてしまうことは珍しくはありません。しかし、高齢者の徘徊を防ごうとするのは悪手なので、絶対に実行しないでください。認知症によりご本人の記憶などに障害が出ているため、周囲は徘徊のことを理解しにくいのですが、徘徊してしまう方は目的なしに出歩くのではなく、何かしらの目的を達成するために出歩くのです。家族などの関係者が部屋に鍵をかけたり、靴を隠したりして徘徊を防ごうとした場合、高齢者の方は多大なストレスを受ける上に不信感を持つため、関係は大きく悪化しかねません。

関係悪化で済むならまだましな部類で、靴も履かずに家を出ていったり、窓から飛び降りたり、と高齢者の方が予想外の行動に出る可能性もあるため、徘徊を防ごうとはしないでください。家族が気づかぬうちに高齢者が自宅を出るといったことのないように玄関にドアベルやセンサーをつける、勝手に外出したとしても居場所をすぐ特定できるようにGPS機能のついた靴を用意する、といった対策が有効です。体を動かすことで徘徊が落ち着く場合もあるので、デイサービスの利用を検討してみるのも手ですね。

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