一人っ子の介護 独身者の介護 遠距離介護 長男 遠距離介護 次男

【50代の介護】 50代での早期退職は『その後』を含めて考えよう

【50代の介護】 50代での早期退職は『その後』を含めて考えよう

50代くらいの年齢は、両親の介護の問題が切実になりやすい時期です。同時に、定年が刻一刻と近づいてきて、仕事についての悩みを抱えやすい時期でもあります。何らかの事情で仕事がうまくいっていなかったり、勤めている会社に大きな不満を抱えていたりすると、介護の問題が持ち上がった時に早期退職という道を選んでしまいがちです。

 

もちろん、介護を重視するという気持ちは素晴らしいものですが、一方で安易に早期退職を選ぶことにはリスクが存在します。当然ながら介護にはお金がかかりますから、早期退職で収入が大きく減ってしまうと、介護の期間が長引いた場合に経済的な困窮につながる恐れがあるわけですね。早期退職した方がよいのか、安易な退職は避けた方がよいのか、これはケースバイケースなので一概には言えませんが、介護される側の高齢者の方が受け取れる年金の額は大きな判断基準です。

 

50代は自身の介護にかかるお金について考えておこう

 

年金には基礎年金と厚生年金があり、基礎年金は保険料を納めていれば、職業に関わらず老後に受け取れます。一方、厚生年金は基本的に法人に勤めている人を対象としており、個人事業主や、厚生年金の対象でない小規模な職場で働く人は厚生年金に加入することはできません。若い頃からずっと個人事業主として仕事をしていたり、法人化していない小さな事務所で働いていたりした場合、受給できるのは基礎年金だけの可能性大です。

 

正社員には厚生年金の加入義務があり、厚生年金の受給者は厚生年金と基礎年金の両方を受給できるため、年金の受給額には期待できる場合が多いものの、厚生年金に加入していない方は基礎年金しか受給できず、老後に苦労しやすいのが実情です。厚生年金の受給者であっても年金の額が少なめなケースもありますし、厚生年金の受給者ではなくても十分な資産があるケースも考えられますが、いずれにしても年金の額が少ないのであれば、介護にかかる費用を年金で賄うことができず、収支がマイナスになりかねません。

 

2018年度のデータによると、介護にかかる費用の平均は月々7万8千円とのことなので、年金受給額が8万円に届いていないケースでは、年金で賄えない分を介護する側が負担する可能性が高まります。介護を始めるにあたっての自宅のリフォーム、ベッドや車椅子の購入などにかかる費用は一時的な介護費用と呼ばれますが、これらの一時的な介護費用は月々7万8千円の中には含まれていません。早期退職を選んで収入が減っている場合、一時的な介護費用が必要になった時に大きな負担がのしかかるのもつらいところですね。そして、当然ながら介護費用以外に生活費も必要なので、高齢者の方の年金がさほど期待できない場合に早期退職をしてしまうと、後々の経済的な困窮につながる恐れがあります。

 

50代の再就職は難しい。給料などの条件が選べないことも

 

早期退職するべきか否か、この判断は非常に難しいですが、衝動的な早期退職はしない方がよいでしょう。介護をしながら再就職先を見つければよいという考えは危険で、50代からの転職は20代や30代のそれとは違って、ハードルが高いのが実情です。単純な転職成功率では40代と50代で大幅な違いはないものの、50代後半に限ると、1年以内に再就職できない人がおよそ4割にも達します。また、50代の転職では給料が下がるケースが半数近くに達するというデータもあり、転職先が見つかったとしても、以前ほどの好条件で働けるとは限りません。

 

転職先が見つからない、非正規雇用などの条件で妥協せざるを得ないというケースが起こりやすいのが50代の転職なので、早期退職すると、今後の働き口を探す際に苦労する恐れがあります。早期退職に魅力を感じるのであれば、一時的な介護費用を捻出するための余裕を残した上で、月々の介護費用や生活費を年金や現在の資産で賄えるのかを計算することから始めてください。

 

そして、50代は老後が間近に迫っているため、今後ご自身が介護を受ける側になることも考えておかないといけません。ご自身の老後の生活に悪影響が出ないよう、介護にかかる費用とご自身の老後資金の両方を見積もることが大事です。両親のために何かをしてあげたいという気持ちは大事ですが、介護を続けるためにはお金が必要なので、計画性のない早期退職はNGだと認識してください。勤めている会社に不満があり、辞めたいという気持ちが強いのであれば、働きながら転職活動を進めて再就職先を見つけておくなり、副業で結果を残すなりして、お金の不安を少しでもなくしておくのが基本ですね。

 

介護はひとりでしない。介護サービスをうまく利用して介護負担の軽減をしよう

 

介護の話が持ち上がった際の選択は非常に難しいものの、まず注意したいのが、働き続けるか、介護に専念するかの2択しかないという思い込みです。会社を取るか、介護を取るかの2択しか選択肢がないケースなどまずあり得ず、実際には他の選択肢もあるのが普通なんですよね。責任感が強い人は頼ることを苦手とする傾向がありますが、働きながら他の親族の方と力を合わせて介護に取り組んだり、訪問介護をお願いしたりして対応できるケースも多く、1人での介護にこだわらなければ、仕事と介護の両立は十分可能です。

 

訪問介護をお願いする場合の費用はサービスの内容、時間、介護保険の負担率によって決まるため、高齢者の方の状態や利用頻度によって、最終的な費用は大きく変わってきます。単純に訪問介護をお願いすればよいというわけではないものの、早期退職による収入面の不安を感じるのであれば、退職せず訪問介護をうまく活用するのが有効です。

 

また、非常に心苦しく感じられるかもしれませんが、施設への入居を検討する方法もあります。施設への入居は介護の役割を放棄して実の親を捨てることと同じように感じてしまいがちですが、自宅で最後まで両親の面倒を見れる人ばかりではありません。収入が心もとなければご自身の生活すら危うくなりかねないですし、仮に金銭面の不安がなくても、日々の介護に疲れて介護うつを発症するケースもあります。施設への入所は実の親を捨てる行為ではなく、お互いが健康に生きるための手段の1つと考えてくださいね。もっとも、施設への入所を決定してから強い罪悪感を覚えてしまうケースは多いため、両親や親族の方との話し合いは欠かせません。

-一人っ子の介護, 独身者の介護, 遠距離介護 長男, 遠距離介護 次男