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【遠距離介護のストレス】なぜ家が汚いの?実家の片付けがうまくいかない理由は?

【遠距離介護のストレス】なぜ家が汚いの?実家の片付けがうまくいかない理由は?

高齢者の方の介護に携わると、掃除や整理整頓に関することでストレスを感じやすくなります。個人差はありますが、認知症の症状が見られる高齢者の方は、掃除や整理整頓を苦手とするのが普通です。

遠距離に限らず、実家が汚い、片付けがうまくいかない理由を考えてみました。

 

家が汚くても平気な理由は?

気力・体力の低下

まず、認知症以前の問題として挙げられるのが、単純に体力や気力が落ちていることです。掃除や整理整頓をするためには、体力と気力の充実が欠かせません。これは高齢者の方に限った話ではなく、掃除や整理整頓をこまめに行うタイプの若い人でも、病気などで体力や気力が落ちた状態だと、掃除や整理整頓を行えないのが普通です。若い人でもそうなのですから、若い頃と比べて体の自由が利きづらい高齢者の方は、認知症の症状が見られない場合でも、掃除や整理整頓に対して消極的になるのが普通なんですよね。

 

理解力・判断力の低下

そして、認知症特有の問題として挙げられるのが、理解力・判断力の低下です。ゴミ出しの日が分からずに不要なものを溜めてしまう、何をどこに片付ければよいのかが分からずに掃除を避けてしまう…というのが典型的な症状です。掃除や整理整頓を行うには、掃除道具の選定、掃除を行う順番、ゴミか必要なものかの判断、必要なものの最適な置き場所など、適切な選択を行う必要があります。ところが、認知症の症状が見られる方は理解力や判断力が低下しているため、選択が難しく、結果的に掃除や整理整頓を諦めてしまったり、無関心になったりしがちです。掃除や整理整頓を得意としている方でも、認知症を発症すると、少なからずこのような症状が見られます。

 

家族・ヘルパーの拒否

そして、コレクター気質の方にありがちなのが、掃除や整理整頓ができない上に、家族やヘルパーさんの掃除を拒否するパターンです。このような方は、無断での掃除や整理整頓に過敏に反応する傾向があります。掃除や整理整頓ができずにゴミが溜まり、ストレスを感じた周囲が無理に掃除や整理整頓を行ってしまうと、高齢者の方が周囲の強引な行動に不満を感じる…といった具合に、よくない連鎖が起こりがちです。コレクター気質とは少し異なりますが、高齢者の方はもったいない精神を持っている方も比較的多く、周囲から見れば明らかに不要なものであっても、もったいないからと捨てられずに溜めてしまうケースもあります。

 

親が整理整頓できなくなったら

無理に整理整頓しようとしない

多くの場合、複数の原因があわさった結果として掃除や整理整頓ができなくなるわけですが、いずれにしても高齢者の方がしっかり掃除や整理整頓をしてくれない場合、周囲はストレスを感じてしまいますよね。しかし、徘徊の恐れがある人を無理に閉じ込めると信頼関係が壊れてしまうように、高齢者が掃除や整理整頓を拒否しているのに周囲が無理に片付けてしまうのは、今後のことを考えるとよくありません。

 

高齢者の方が不信感を持ってしまうと、今後の介護にも多大な悪影響が出ますし、昔の思い出の品などとても大事にしているものを勝手に捨ててしまうと、認知症を患っている高齢者の方が大きく取り乱す恐れもあります。介護する側としては家が汚い状態をなるべく避けたいと感じるのが普通ですが、高齢者の方が掃除や整理整頓を拒否するのであれば、無理強いをしないのが基本です。もちろん、完全に放置してしまうと衛生面などの様々な問題が出てくるので、高齢者の方と話し合い、了解を取った上で、掃除や整理整頓を行うことがとても大事です。

 

親が納得した上で行う

気難しい方の場合、了解を取るのもなかなか大変ですが、基本的に家が汚い状態で暮らしたいと考える方はまずいらっしゃいません。家が汚くなっていても、それは先に書いたように、衰えや病気が主な原因で、高齢者の方も望んで汚くしているわけではないのですよね。そのため、家が汚い状態が続くと色々な悪影響が出ることを説明し、了解を取るのが有効です。散らかっていると転んで怪我をする危険性が高まる、不衛生な状態が続くと虫が現れる恐れがあるなど、汚い状態が続くことによるリスクをしっかり説明した上で、掃除や整理整頓に取り掛かるのが理想形です。

最近はこのような清掃サービスもありますので困ったら相談するといいかもしれません。

 

ゴミは『宝物』?妥協が必要な場合もある

もっとも、しっかりと了解を取れば好きに掃除や整理整頓をしてよいというわけではなく、たとえ不要なものに見えたとしても、高齢者の方が大事にしているものについては手をつけないようにしてください。介護を続けていると、掃除や整理整頓以外の場面でも、高齢者の方が感情的になる場面に遭遇することがあります。しかし、このような場面で無理に理屈で押し通そうとすると、余計にこじれてしまうのが普通です。介護する側からすれば捨てたほうがよい、片付けたほうがよいと感じるものであっても、高齢者の方が強く拒絶するのであれば、無理に手をつけずに妥協するとよいでしょう。

訪問介護の利用が強い味方になる

遠距離介護の場合、同居しての介護と比べると目が届かない時間帯が増えやすく、家が汚い状態になりがちなので、介護保険の訪問介護サービスを利用するのが基本です。訪問介護では高齢者の方の居室、台所やトイレなど、様々な場所の掃除や、物が散らかっている場合の整理整頓を行ってくれます。遠距離介護であり、かつ仕事が忙しいなどの理由で頻繁に高齢者の方の様子を見に行けない場合、訪問介護は非常に頼りになる存在です。

 

訪問介護でできないこともある

 

訪問介護は高齢者が快適に生活するためのサポートをしてくれる存在であって、お手伝いさんではありません。高齢者の方の体力が衰えていて、定期的な掃除や整理整頓が難しいような場合は掃除や整理整頓を代わりに行ってくれますが、家の掃除を全てお願いすることはできません。訪問介護で行われるのは高齢者の生活に関係している部分のサポートなので、ついでに家族の部屋の掃除をしてもらったり、介護とは関係のない庭の草むしりを行ってもらったりはできないわけですね。訪問介護をお願いする場合、介護サービスの計画を立てるケアマネージャーとよく話し合い、掃除や整理整頓のサポートの程度について、明確にしておくのが理想です。

 

終わりに

きれい好きな方にとってはつらいかもしれませんが、認知機能の衰えが見られる方に対して、介護する側の理想の姿を押し付けてもよいことはありません。掃除や整理整頓以外の場面でも、ほどほどでよいと思うようにすることが、介護疲れを防ぐ上で大事なことです。

 

 

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