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【50代の介護】 大人のおむつ生活にかかる費用とその削減方法は?

【50代の介護】 大人のおむつ生活にかかる費用とその削減方法は?

40代から50代の人が、両親あるいは義理の両親の介護を行う場合、問題になりやすいのがおむつ生活による負担です。寝たきりの方、排泄に関わる機能の低下や素早く動けないなどの理由でトイレに間に合わないことが増えた方を介護するのであれば、おむつの存在が欠かせませんよね。

 

おむつ生活を送る方を介護する上で意外と困るのが、大人用のおむつを用意するための費用面の負担です。

 

大人用おむつの費用面の負担について、ピンとこない人もいらっしゃるかもしれません。確かに、大人用おむつ自体はそこまで高い品ではありません。1パック当たりの枚数は様々なため、大人用おむつの価格は商品によってだいぶ異なりますが、おむつ1枚当たりの価格は平均すると60円程度ですね。

 

寝たきりなどの理由でおむつ生活を送っている方は1日に9回ほど排泄を行い、大人用おむつは基本的に2回の排泄ごとに取り替える必要があります。そのため、1日当たり4枚から5枚ほど大人用おむつが必要で、排泄回数が多い方を介護する場合はもう少し必要になるかもしれません。

 

1枚60円の大人用おむつを1日に5枚使用すると仮定した場合、1日に300円、月に約9,000円ほどのおむつ代の支出を見込む必要があります。

 

一時的な介護であればそこまで大きな負担ではないものの、何年にもわたって介護するのであれば、この月々1万円弱の負担は馬鹿にできないわけですね。2018年のデータによれば、介護にかかる期間は4年未満のケースが半数を超えているものの、4年以上かかるケースも40%を超えており、10年以上かかるケースも15%ほどあります。おむつ生活の方を5年介護する場合、トータルで54万円ほど、10年介護する場合は108万円ほどのおむつ代の支出を見込んでおかないといけません。

そのため、おむつ生活の方を介護するのであれば、各自治体の大人用おむつの給付制度、助成制度を必ずチェックしておきたいところですね。

 

自治体のおむつ支給事業・おむつ等介護用品の支給とは

 

紙おむつ支給事業、紙おむつ等介護用品の給付など、自治体によって名前は異なりますが、一定の条件を満たせば、紙おむつの現物の支給を受けられたり、購入のための助成金を受け取れたりします。自治体の給付制度、助成制度を利用するための条件は、対象者が第1号被保険者であること、介護度が要介護3以上であること、そしておむつを必要としていることです。

 

介護保険の第1号被保険者とは65歳以上の方を指しており、40代から50代の人が両親、あるいは義理の両親の介護を行う場合、第1号被保険者の条件を満たすケースが多いはずですが、満たさないケースもあり得ます。

 

要介護状態等区分(介護度)はどの程度の介護が必要かを表しており、要介護の区分は全部で5段階です。要介護3は5段階の真ん中に当たり、杖や車いすなどを使用せずに自ら立って歩くことが難しい人が要介護3に分類されます。その性質上、要介護3に認定された方は自らの意思でトイレに行くのがなかなか難しいものの、必ずしもおむつが必要とは限りませんので、おむつを必要としているという条件も用意されているわけですね。

 

ただし、これは基本的な条件で、自治体によってはまた別の条件が用意されている場合もあります。紹介した条件を厳密に満たしていなくても、認知症があるなど特定の条件を満たせば制度の対象となるケースは多いので、まずはお住まいの自治体のホームページなどを確認し、詳細な条件を知るところから始めてくださいね。

 

一方、今後の不安点として挙げられるのが、各自治体の大人用おむつの給付制度、助成制度がずっと続くとは限らない点です。

 

2020年11月、厚生労働省は介護用品の支給事業を2024年3月末まで延長すると発表しており、現時点では2024年4月以降の動向は不透明です。大人用おむつの給付制度、助成制度は介護に携わる人に求められている制度なので、何らかの形で継続される可能性は高いでしょうが、形が変わって以前より不便になることも十分にあり得ます。いずれにしても、おむつ生活の方を介護するのであれば、自治体の動向もくわしくチェックしておきたいところですね。

 

おむつは医療費控除できる

 

助成制度を利用する、しないに関わらず、大人用おむつを介護目的で購入して使用するのであれば、医療費控除を受けられる場合があります。

 

医療費控除は、条件を満たした場合に確定申告を行うと受けられる控除で、税金の一部が還付金として戻ってくるため、お金のやりくりに不安を抱えている方にとって非常に心強い存在です。ご自身と、生計を共にしている家族が病院で支払った診療費、処方薬の費用などが医療費控除の主な対象で、おむつは基本的には医療費控除の対象ではないものの、介護に必要であると認められた場合は医療費控除の対象にできます。

 

おむつや尿とりパッドを医療費控除の対象とするためには、3つの条件を満たす必要があります。

 

 

1 介護の対象者、あるいは家族がきちんと税金を納付していること

2 寝たきり状態が6ヶ月以上続いていること (介護の対象者がおむつが必要な状態になってすぐの場合は、おむつを医療費控除の対象にはできません)

3 医師に有料のおむつ使用証明書を発行してもらうこと (この書類により、寝たきり状態が6ヶ月以上続いていると証明できます)

 

 

大人用おむつの給付制度、助成制度とは違って対象者の年齢は問われないため、条件を満たしていれば、65歳未満の方を介護している場合でも問題ありません。

 

医療費控除は、生計を共にしていればご自身が支払った分に加えて家族が支払った分も計上できるものの、生計を共にしていない場合は、血のつながった家族であっても計上はできません。介護の対象者と同居している場合や、別居しているが生活費を出している場合はおむつ代を医療費控除の対象にできますが、遠距離介護で生活費が別々であれば、医療費控除の対象とならない可能性が高いので注意が必要ですね。

 

また、医療費控除を受けるためには医療費の合計が一定ラインを超えている必要があり、年間所得が200万円未満の場合は所得の5%、200万円以上の場合は10万円以上の医療費がないと、医療費控除は受けられません。寝たきりの方を介護する場合、費用が膨らむのが普通なので一定ラインに届かない心配はあまりないものの、領収書の紛失には注意したいところですね。

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